「東京新大学を語る」掲示板への書込み内容に関して

平成11年の末、とある雑談の中で持ち上がった話から、筆者個人で 東京新大学野球連盟のホームページを作成する気になった。年末から作成を始め、 翌年の1月に準備段階としてはひと段落、2月に公開した (こちら)。 以来、1年弱の間にトップページにつけたカウンタは18000を越えた。誠にありがたいことである。 また、掲示板への書込みは200件あまり。いろいろなものがあったが、だいたいは 単発で終わっていた。しかし11月ごろに初めて掲示板上での議論らしきものが 起こった。筆者個人としてのそれらについての意見をそれなりに持ってはいるのだが ホームページもいろいろな方に見ていただけるようになってきて、作成者としての 筆者の立場を考えると、めったなことを書けない雰囲気ともなりつつある。 そこで、筆者が勝手な「ひとりごと」を披露している自分のホームページの下で、 掲示板で議論になった話題に対しての自分なりの考えを書きたい。

なお、掲示板への書込みは適当な投稿名で行えるようになっており、投稿者の 特定は困難である。ここでは、基本的に投稿者を "推定" することで話を進める。


☆ヤジ

事の発端は投稿名「バント職人」氏(3部所属チームの部員と推定)が、チーム名を 特定はしなかったもののあるチームのヤジをひどく批判したことにある。 チームの特定はしなかったが、関係者ならばほぼ予想がつくので、ここからは それが工学院大と推定されるとして話を進める。批判された工学院大の部員からも 反論の投稿が行われ、それらを含めて賛否両論の投稿が行われた。ヤジの反対派は 「相手を中傷してまで勝とうとするのはどうかと思う」「(ヤジ全般ではなく) あなたのヤジだけはひどすぎる」といったもので、賛成派(厳密には非反対派)は 「いちいち気にしなければいい」「勝とうとする気持ちの表れ」といったものだった。

筆者個人の意見は「ヤジはOK」である。筆者の現役時代を知る者は、筆者がけっこう うるさくヤジを飛ばしていたのを知ってもいるだろうから、まあ反対する立場でも ないのはわかるだろう。野球におけるヤジは戦術の一つになると思う。 それによって相手を動揺させたり、少しでも100%の力を発揮しにくい状況を 作ることができるならやるべきである。

そこでなぜ反対意見が出てきたかである。きっかけとなった「バント職人」氏の 投稿の中に「あのチームは3部にいりません」のフレーズがあり、これを筆者は ひねくれた解釈をしている。批判された選手は確かにヤジはうるさいが、彼を含めて 工学院大は勝つことを第一に考えて一生懸命がんばっているチームと筆者は思っている。 その一連の中で出てきているヤジだと筆者は思っているが、真剣に勝とうとするチームを 「3部にいらない」とする発言は非常に残念である。3部の一部のチームは勝つことよりもお互い 仲良く楽しくやることを第一に考えているのだろうか。そんなふうにも聞こえてしまう。 反対意見を投稿した人の中には、1部・2部のチームの所属と推定される人もいた。 ヤジ全般に対する反対ではなく特定個人への批判でもあったが、真剣に勝とうとする 姿勢の表れを否定する意見が出るのは非常に残念である。筆者は掲示板に 「1部の試合を見るとヤジも洗練されている印象がある。きれい・きたないの 一元的な評価だけではなく」という書込みを行った。レベルが高く、真剣に勝負する 1部のリーグ戦などではヤジもかなり飛ぶ。創価大VS流通経済大の対戦での 意地のぶつかり合い、いつものことだが高千穂商科大のはげしくうるさいヤジ。 今回批判の対象にされた工学院大のヤジは、それらと比べて別段問題はないと思うのは筆者だけだろうか。 それらを見たうえでの批判ならばともかく、単に出てきてしまった反対意見ならば むしろ工学院大は被害者である。


☆金属バット

事の発端は木のバットが折れるので金銭的にも部活動が大変である、みたいな 投稿が帝京科学大の部員と推定される「T.S-15」氏から行われ、それに連盟外部の 複数の方(投稿名「得津文峰」氏・「篠原正孝」氏)から「下部リーグは金属 バットでもいいのではないか」との投稿が行われた。使用バットについては 各連盟の取り決めになっているらしく、この連盟で「木でなければならない」 という規約がなければ別にいいのではないか、という意見である。これについても いくつか意見が出た。

筆者個人の意見は「金属バットには反対」である。全国大会で木を使うことが 決まっている(と思う)以上、1部リーグは木でリーグ戦を戦うべきであろう。それでは 2部は金属でよいかと言うと、2部所属校だって、大義名分としては1部に昇格して 1部で活躍し、全国大会に出場することを目指しているはずである。 ならば当然木で戦うべきであり、以下3部・4部も同様である。もう一つの 理由は野球の質に関わることである。筆者はこれまでに高校野球、大学野球、 社会人野球(クラブチーム)と一応携わってきている。1点を巡る攻防、細かな駆け引き、 それらが野球のおもしろさと思うし、そのほんの一部を大学で学んだつもりでいる。 しかし、クラブチームでの野球でそれが吹き飛びつつあり、悲しさを 感じているさいきんである。1点や2点を取っても金属バットでバカバカ打ち返されて 大量点を取られる。だから1点や2点ではなく大量点を取りに行く野球をやろうとする。 高校野球の場合はそれでも選手の力がまだ発展途上の段階にあるからいいと思うが、 大学以上での金属バットはどうかと思い、特に社会人での金属バット使用には 個人的には疑問を持っている。この現状で、野球の細かさや奥の深さを アマチュアで学べるのは大学野球ではないかと思う。金属バットを使ったところで、 両チーム同じ条件なのでどちらでもいいかもしれないが、やはり大学野球は 木でやってほしい。あるいはプロを目指すという意識を持っている選手がいるならば、 当然木のバットでの打撃レベル向上を目指すべきと思う。


☆遅刻

考えたくも聞きたくもないが、リーグ戦に遅刻をしてくるチームがあるそうだ。 その結果不戦敗となったのが今年、春と秋に1回ずつ。2年前にもあったと聞く。 これについては賛否両論どころか賛成の意見など出なかったが、対象のチームから 言い訳の投稿があったことは誠に残念である。「遠い」のは流通経済大をはじめ として、いくつかのチームが持っている悩みであるがそれでも多くのチームは それを克服して部活動を行っている。(遅刻と直接は無関係だが話題に出た)遠征の費用の件も同様で、 1部のチームだから必ずしも経済力があるわけでなく、各チーム、各部員、それなりにやりくりを しているのである。まして今回対象となったチームにしても、似た状況でもかつて先輩方は 遅刻などせずに立派に活動してきたではないか。しっかりとした意識を持って 部活動に取り組んでほしい。


☆全体を通して

20チームあるから、いろいろな考え方を持つチームやいろいろな考え方を持つ 部員がいることと思う。それを掲示板という場で語り合う姿は、なかなか興味深い。 しかし、しっかりした意識を持って、野球で勝負しないか? 現役部員諸君。

やっぱり遅刻はよくないだろう。苦しい部活動が続いているかもしれないが、 1チームだけが苦しいのではない。経済的に苦しい部、 遠征に苦労が多い部、学業の厳しさゆえに野球だけに専念できない部、 各チームいろいろ苦しい中で活動をしてもいるのである。もう1度考え直し、 しっかりしてほしい。自分たちだけの問題ではない。チームの先輩方や 連盟の先輩方が歩んできた歴史があり、チームや連盟のこれからの発展を担う立場にあり、 大学の名を背負った部活動であり、応援してくださる方もいるのである。

ヤジについては相変わらず賛否両論あるかもしれない。「俺たちはヤジなど 飛ばさなくても勝つ」「フェアプレーこそすべて」の意見もいいだろう。 ただ、個人がそれぞれの思いを持っていいが、掲示板のようなオフィシャルな場面で 特定チーム・特定個人を批判した姿はやはり好ましくない。特に今回については、 投稿者の特定が困難な状況での批判であり、とてもフェアとは言い難い。 こんなところに書かなくてもいいではないか。野球でいいプレーを見せ、 自分の野球観やスタイルを示せばいいではないか。それは勝って相手を見返すとかだけでなく、 全力のプレーを見せるとか、真剣に取り組んでいる姿を見せるとか、そういうことでもいいと思う。 「掲示板に出てきたアイツ、なかなかいいプレー見せるじゃん」「一生懸命やってるじゃん」 「ああいうこと書いてたけど、こういう野球観を持って取り組んでたんだ...」。 野球でイヤな思いをしたことを匿名で掲示板にぶつけるのではなく、 堂々と掲示板に意見を公開しておいて、そこから野球を通していろいろな つながりや意志疎通が生まれ、チームの枠を越えてお互いの理解が深まるような、 そんな雰囲気を期待したい。

ここからは筆者自身の育った野球環境を無視して書かせてもらう。 別にレベルの高い環境にいる者を尊敬してレベルの低い環境にいる者を見下ろす わけではない。しかし今回の一連のことで感じるのは、 全体的に下部リーグに所属するチームに甘えに近い気持ちはないだろうか、ということである。 「環境が苦しいから勝てない」「どうせ勝てないなら楽しめばよい」、 そういう雰囲気はないだろうか。それを単純に否定するわけではない。 もともとはそういう雰囲気も含めた上で刻まれてきた東京新大学の歴史なのかも しれない。しかし、今回このホームページを筆者が作成し、想像よりも多くの 人が見てくださっているようである。一般の方(連盟と無関係の方)も多い。 そういった中で、あえて自分たちの意識レベルの低さを露呈する投稿がされた ことは、連盟の一ファンである筆者からすれば残念である。勝てない理由を口に出す。 簡単だろう。ただ、そこで1度こらえて、苦しい中でも勝つ方法を考えて実践し、 結果を出せたときに初めて「僕たちはこういう苦しい状況の中でも一生懸命 やって、ようやく勝てたんですよ」と胸を張る方がかっこいいのではないか (さらに言えば勝ってもそれまでの苦しさを口に出さない方がかっこいいかもしれない)。 連盟の発展のためには下部チームのレベルアップも大切である。がんばってほしい。


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