相模原クラブ「つぶやき」集

木製バットか金属バットか
クラブチームに与えられた優しく厳しい選択

(2001年夏、相模原クラブ・山口陽三)

2001年7月、「社会人野球の使用バットを来年度の公式戦から木製バットにする」 という決定が日本野球連盟からなされた。国際大会が木製バットを使用するように なってきていることへの対応や、金属バット使用による野球の質の低下や 試合時間増長への対策とのことである(日本野球連盟の発表は こちら をご覧ください)。

筆者個人としては、大いに賛成である。体が成長途中の高校生が金属バットを 使うのはともかく、社会人野球で金属バットを使うことには大きな抵抗を感じていた。 筆者は野球のおもしろさは微妙な駆け引きや1点をめぐる攻防にあり、 野球は奥深いものと考えていたがどうも、社会人野球だとそれが味わえない 気がしている。大の大人が金属バットで打ち合い、10点以上が平気で入る 試合展開の中で、細かなプレーや気配りなど頭を使いながら1点を大切にする野球を 心がけようと言っても、なかなか浸透しにくい。その意味で、野球を本当に おもしろく取り組むには木製バットでやるべきだと思っており、 今回のルール改正には賛成である。

個人的な賛否はともかくとして、とにかくそういうルールになったのだから それに従うだけである。ところが、である。特例的ルールとして、「クラブ選手権に限り、 金属バットの使用を認める」とある。クラブチームの金銭的負担を 考慮してくれてのものらしい。金属バットの使用を認める以上、どこのクラブチームも クラブ選手権では金属バットを使うだろう。ゆえに難しいことが起こる。 チームとしての普段のクラブ活動を金属バットで行うか木製バットで行うか、である。

木製に慣れた状態で試合で金属を使うのと、金属に慣れた状態で試合で木製を使うのとでは、 どちらがリスクが大きいか? おそらく後者のリスクが大きいであろう。それならば、 前者を選択する、つまり普段のクラブ活動を木製バットで行えばよい。 その筋立ては納得していただけるだろうし、もともと筆者個人は木製バットの 野球をやりたいので、当然そちらの選択に賛成である。

ところが連盟が心配してくれているだけあって、経済的な負担も確かに厳しいものがある。 例えば相模原クラブでは2000年、公式戦を6試合、準公式戦(神奈川県のクラブチームによる 対抗トーナメント)を3試合、オープン戦を19試合戦った。この試合数、特に オープン戦をすべて木製バットで取り組むことになればその負担はバカにならない。 金銭的な懸念を除いて考えても、クラブ選手権が金属バットという以上、 少なくとも選手権前には金属バットでの練習・オープン戦を取り入れるチームが 多いだろう。各クラブとも、年間の公式戦の中でもクラブ選手権を最重要視 しているであろうからである。あるいはもっと極論を言って、企業チームとの 対戦では勝算がかなり少ないので(特に神奈川県の企業チームはレベルが高い) 普段のクラブ活動は金属バットを主流として、企業チームとの試合は慣れなくとも 仕方なく木製バットを使う、というスタンスをとるチームもあるかもしれない (断っておくが、筆者自身も相模原クラブというチームも、そういうスタンスではない)。

結局、オープン戦や練習といった普段のクラブ活動は金属バットと木製バットを 併用するチームが多くなるだろう。時期を見て(どの大会が近いか、など)、あるいは 対戦相手を見て(クラブチームか大学か企業か、など)、使い分けることになるだろう。 仕方ないとは思うがそれはそれで難がある気がする。中途半端な活動の中で、 選手個人の打撃に影響がないか。チーム全体としての戦い方を固められるのか。 戦術、用兵、意識の面などバットの都合で変えなければならない部分は多いように思う。 考えすぎかもしれないが。連盟が「クラブチームのために」と設定してくれた ルールはありがたい。しかし、いっそすべてを木製バットにしてくれた方がよかった という考え方もあり得る(特に筆者は木製バット愛好だからそういう考えを 持つのだろうが)。クラブチームに優しいはずのルール設定は一方でクラブチームに、 厳しい選択を迫ることにもなっている。

筆者自身として考えるところもあるし、相模原クラブとしての対応も考えて いかなければならないだろう。チームのためにいい方向を模索したい。


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