平成10年 東京新大学野球連盟秋季入れ替え戦

[1部リーグ戦] [2部リーグ戦] [3部リーグ戦] [4部リーグ戦]
[入れ替え戦]


平成10年11月21日 東京国際大学グランド 1・2部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
日大生物(2部1位) 0 1 2 0 0 0 1 2 0 6
日本工業大(1部6位) 0 7 1 0 0 0 1 1 × 10

1部復帰後3季目で最下位となってしまった日工大と、圧倒的な攻撃力で2部降格2季目にして優勝を飾った日大生物との対戦、第1戦は一応筆者の戦前の予想通り、点を取り合う展開となった。

日工・大谷、日大・古川の両左腕の先発で始まったこの試合、2回に日大が1点を先制するもその裏日工が一気の大逆転を見せる。 2死3塁から須藤の適時2塁打で追いついた後、なお2死1.3塁と攻めて竹澤の遊ゴロが失策を誘い、勝ち越し。 そしてその直後、この入れ替え戦全体を左右しかねない大きなプレーが起こった。 2死1.2塁から1走・竹澤が捕手からの牽制で挟まれ、挟殺プレーに。ところが1走・竹澤と一塁手・下嶋が交錯。 ボールがこぼれたのを見て2走・守屋が一気の生還を狙ったが今度は捕手の武笠と激しい接触。 結局走者は無傷な上にオールセーフとなったが日大は4番を務める一塁手・下嶋と5番を務める捕手・武笠が相次いで負傷。 このプレーで武笠の方が退場を余儀なくされた。さらに日工大はこの回に小竹の適時2塁打で1点を加え、藁科に四球を出したところで 日大先発・古川はKO。代わった内山から北山の2点適時打で日工はさらに追加点を挙げ、この回だけで一気の7得点。 日大も3回に無死満塁から2点を返し、後半にも追い上げを見せたものの4番の下嶋も3回の守備から退場したこともあり、 攻撃力は半減。終盤にもしつこく追加点を挙げた日工が大谷の完投で逃げ切った。 日工はレギュラーを務めていた4年生の金子・村井・塚野を欠きながらソツのない野球でミスにつけこみ、うまく勝った。 一方の日大は武笠・下嶋の途中退場で反撃に拍車がかからなかったのだがなにより先発の古川の序盤でのKOが誤算。 安定感チームトップの内山を2回途中から投入したおかげで試合は壊れなかったものの結局は内山のむだ使い。 あまりいいところなく、今後の戦いに不安を抱いたまま第1戦を終えてしまった。

平成10年11月22日 東京国際大学グランド 1・2部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
日本工業大(1部6位) 3 1 0 1 0 1 0 0 0 6
日大生物(2部1位) 0 0 3 0 0 0 1 0 0 4

(記事は東京理科大学・藤島由幸氏によるものです)

初戦のアクシデントで2人のタイトルホルダーが負傷退場した(下嶋は2冠なので延べ3人)満身創痍の日大は、前季全試合登板を果たしたタフネス滝沢をマウンドに送った。

その滝沢、初回に5連打を浴び3点を先制される。実に不安定な立ち上がりでネット裏の父兄等を心配させたが、 2回以降はコースを突く丁寧なピッチングで追加点を最少に食い止める。
一方、日工大の先発遠藤もボールが先行する苦しい内容。4回までに7四死球を与えるが、 日大がこの遠藤をなかなか捕えることができない。3回に伊藤・青木の連続適時打で3点を返すものの、 4回までに8残塁を喫する拙攻。結果的にはこれが試合展開に大きく影響した。
7回に日工大は2点差を付けたところで、第3戦を考慮してここまで温存したエースの川田を投入。 日大の負けが濃厚となったが、日大も7回から内山が登板。シーズン中と同様の安定したピッチングで3回を 1安打無失点に抑え、味方の反撃を待つ。
内山の作ったリズムを攻撃に持ち込んだ日大は、7回の一死満塁、8回の一死三塁のチャンスをお膳立てするが、 川田がふんばり1失点に封じる。最終回も無死から失策で出塁した下嶋が盗塁を試みるが捕手の守屋に刺された。 このプレーに象徴されるように、やはり武笠の欠場が余裕のない攻撃を招いたのかもしれない。

日工大は打のイメージがどうしてもつきまとうが、この日は先発の遠藤に散々リズムを崩されたものの、 失策1つという堅実な守備を見せた。 (以上、藤島氏 筆)

山口は第2戦を見ていないので何とも言えないのだが、やはりこの苦しい状況、 1敗もできない状況で滝沢を先発させるという、非常に勝つ確率の少ない選択肢を 選ばなければならなかった点に、今季の日大の弱い面が凝縮されているように思う。 滝沢は確かに昨季全試合に登板し、わりと安定した投球を見せたのだが今季は試合に 来ていない日もあったようだし、登板した試合でも打たれることが多く、 あまりいい内容の投球はできていなかった。日大は圧倒的な攻撃力で2部の各チームを撃破してきたものの 投手陣の不安定さも見え隠れしてはいた。唯一安定感のあった内山をどう使うかが焦点になったが、 結局あまり彼を生かした戦いには持ち込めなかった。打撃中心の戦い方が、 2部の中で通用したところまではよかったのだが、結局その柱の下嶋・武笠を欠いて理想の野球ができなかった。 そういった目指す野球の、日工大との違いがわりと顕著に現れた入れ替え戦だったのではなかろうか。


平成10年11月21日 東京国際大学グランド 2・3部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京電機大(3部1位) 1 0 0 0 0 0 0 5 0 6
駿河台大(2部6位) 0 0 0 0 0 2 0 0 0 2

ただ不運だけで3季連続2部最下位に甘んじてしまった駿河台大と、 9勝1敗で圧倒的に3部を制した東京電機大との対戦、まず第1戦は投手戦の末、 桜井の好運な満塁本塁打で東京電機大が先勝した。

電機は初回、駿河台先発・駒木の立ち上がりを攻め、4番の落合の適時打で1点を先制。 その後は駒木もペースをつかみ、電機打線を手玉に取るが電機先発・落合も好投。 やや動きが硬い駿河台打線を相手に5回まで1安打の好投。試合は投手戦となってきたが6回、 駿河台は佐藤・清家の連続バント安打で作った好機を小玉の犠打で1死2.3塁と広げ、4番の高野へ。 落合はここは高野を浅い右飛に打ち取ったが続く南に死球を与えて満塁とし、中岡に押し出し四球で同点。 さらに玉内の内野安打で駿河台に逆転を許した。駒木は依然として好投を続け、 駿河台の1点リードで8回を迎えたがここで電機は喜多の安打から1死2塁の好機をつかみ、 代打山川の適時打で同点。続く馬場の遊ゴロが敵失を誘って好機を広げ、瀧下の安打で1死満塁と攻める。 ここで駒木は3番・桜井に対してカウントを0-3としてしまう。そしてストライクを取りにいった高め直球を桜井が叩く。 打球は中堅へ伸び、国際大グランドの浅い中堅フェンスを超えて勝ち越しの満塁本塁打となった。 結局このリードをエースの落合が守り、電機が先勝。落合-駒木の投手戦は不運な一発で決着がついた。

平成10年11月22日 東京国際大学グランド 2・3部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8
駿河台大(2部6位) 0 4 0 0 3 3 1 1 12
東京電機大(3部1位) 0 1 0 2 0 2 0 0 5
(8回コールド)

(記事は東京理科大学・藤島由幸氏によるものです)

初戦の惜敗で後がなくなった駿河台は、先発に上村を立て背水の陣で臨んだ。

駿河台は2回、2つの四球と野選で作ったチャンスに佐藤と小玉の適時打等で4点を先制。 電機大も制球に苦しむ上村から細かく加点し追いすがる。
5回表、電機大の先発瀧下が90球を超えたあたりから疲れを見せ、3連続四球を与え 中岡のスクイズの際に自らエラーを犯し3点を献上する。ここでほぼ勝負は決まった。
その後も駿河台は代わった富沢から南が本塁打を放つなどしたが、 それとは対照的に電機大は4安打を放つのが精一杯だった。
勝負は第3戦に持ち込まれたが、第3戦に駿河台がどのような投手起用をするか ということに興味が注がれる。 (以上、藤島氏 筆)

平成10年11月23日 東京国際大学グランド 2・3部入れ替え戦第3戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
東京電機大(3部1位) 0 0 1 1 0 0 1 0 0 3
駿河台大(2部6位) 1 0 4 0 0 0 2 0 × 7

1勝1敗で迎えた第3戦、頼みの落合がつかまった電機大が、地力に勝る駿河台大の前に敗れ、 2部昇格はおあずけとなった。

予想通り落合を先発させた電機に対し、駿河台はリーグ戦でも未勝利であまりいいところのなかった 堀田を先発させた。そしてこの堀田が序盤から綱渡りの投球を展開する。初回の1死満塁の危機をなんとか 併殺で切り抜けるものの、1点を先制してもらったあとの2回にも1死2塁の危機を迎える。 ここも下位打線を相手に何とか抑えたものの3回、再び1死満塁の危機を迎える。 ここで暴投で1点を失うものの結局その後の1死2.3塁を抑え、不安いっぱいの投球ながら 3回を1失点で降板する。そして3回裏、第1戦で抑えられた落合を相手に駿河台打線がつながりを見せる。 佐藤・清家の安打等で作った無死満塁の好機に高野の押し出し四球で1点を勝ち越し。 なおも玉内・南の連続適時打で追加点を挙げ、この回4点。4回から駿河台は第2戦で勝利投手になっている 上村をリリーフに送り、これがまずまずの投球で中盤を乗り越える。しかし電機も7回、 2死から瀧下の安打、桜井の四球で1.2塁の好機を作り、チームの大黒柱、4番の落合がしぶとく三遊間を抜く安打を放ち、 1点を返す。一気に反撃ムードが高まったものの駿河台はここでエースの駒木をリリーフに送る。 結局駒木が後続を断ち、7回に挙げた追加点にも守られて駿河台が逃げ切った。 駿河台はリーグ戦から続いて入れ替え戦の第1戦まで不運を引きずり続けたものの自力で2連勝。 加盟以来5度の入れ替え戦を3部昇格、2部昇格、2部残留、2部残留、2部残留、通算でも10勝2敗として 入れ替え戦での圧倒的な強さを見せつけた。対する電機は優勝の勢いに乗り、 非常に明るい雰囲気でわりと堅実な野球を展開したものの第3戦は頼みの落合に 第1戦ほどの球のキレもなく、惜しくも敗れ去ってしまった。

振り返れば戦前の筆者の「駿河台圧倒的有利」という予想とはやや異なった展開となった。 そこには、電機大の予想以上の健闘があったと言えよう。電機大の野球は、 個々に突出した選手はあまりいないながらも全体として非常に機能しており、 この野球を3部でやられたら他チームは相当苦しいだろう、という印象を受けた。 実力的に2部最下位ではないとかながね筆者が言ってきた駿河台を相手によく戦ったことと思う。 4年生が何人かレギュラーに入っていたチームなので、来年どうなるかわからないが、 1年生にもいい選手が多いようで、今後の電機大の動向は大いに気になるところである。


シーズンごとの戦績紹介のページ

東京新大学野球連盟のページ