平成12年 東京新大学野球連盟春季入れ替え戦

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以下、試合の記事は東京理科大・藤島由幸氏によるものです。


平成12年6月17日 流通経済大学グランド 1・2部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
駿河台大(2部1位) 0 0 0 0 1 1 0 0 0 2
杏林大(1部6位) 1 0 3 0 1 0 0 1 × 6

初回に大城の適時打で先制した杏林大は、3回にもヒット3本を集中させリードを 広げる。リードをもらった先発岩崎は、全く危なげのない投球を披露する。岩崎の前 に押え込まれていた駿河台大は数少ないチャンスを生かし、5回に大泉のスクイズ、 6回には羽根井に適時打が出て追いすがる。しかし、福山の適時打などで中押しした 杏林大がその後も優位に試合を進め、岩崎も最後まで球威が衰えることなく無四球の 完投勝利となった。

打てないチーム同士とは言っても、その「打てない」の次元が違う。1部リーグ の投手陣に対して打てなかった杏林大と駿河台大との打力の差は歴然としていた。 ただ見た目の実力ほど点差が開かなかったのは、飯沼がとにかく粘り強く投げたからだろう。 そしてバックも2ケタ安打を許した飯沼をよく盛り立てた。またこの試合、両 2年生エースはリズムをもたらす非常にテンポのよい投球で、スピーディーな展開 (1時間39分)となった。

平成12年7月1日 流通経済大学グランド 1・2部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7
杏林大(1部6位) 1 0 9 0 0 1 0 11
駿河台大(2部1位) 0 0 0 0 0 0 0 0
(7回コールド)

2部優勝の立役者となった堀田を先発させた駿河台大だが、初回に内野守備の乱れ から先取点を献上してしまう。さらに3回にも、2死を取るもののまたもや失策が絡 み2点目。そしてこの後杏林打線が爆発する。死球を挟んで5連打を浴びせ堀田をKO。 序盤にビッグ・イニングを作り試合を決めた。

岩崎は非の打ちどころのない投球を披露。駿河台大が得意とする機動力を駆使した 攻撃を展開させる隙を与えなかった。6回には井上に初安打を許しノーヒット・ノー ランこそ逃したものの、終始安定したピッチングでこの入れ替え戦のマウンドを一人 で守り切った。

果敢に挑んだ駿河台大だが、先程行われた新人戦に優勝して波に乗る杏林大の勢い に完全に飲み込まれた形となった。今回の杏林大の圧勝は、縮まってきていると言わ れる1部と2部の実力差が再び開き始めてきていることを暗示しているのかもしれない。


平成12年6月17日 流通経済大学グランド 2・3部入れ替え戦第1戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
日大生物(3部1位) 0 0 0 6 0 0 0 0 3 9
工学院大(2部6位) 0 0 1 0 1 0 0 0 0 2

静かな立ち上がりだったが、3回に墨谷のスクイズでまず工学院大が先制する。 だが、その直後に試合は大きく動く。先発浦野が突如制球を乱してしまう。2つの四球 を与えると下位打線に連打を浴び逆転を許す。更に2人の走者を置いて辻に本塁打を 浴びる。その後試合は膠着するが、5点のビハインドを背負ってしまった工学院大に これをはね返す力はなく、日大が逃げ切った。

シートノックから日大の選手たちの声の量は少なかった。この入れ替え戦を大事な ゲームとして意識できているのだろうかと疑い、度重なる入れ替え戦への出場が貴重 な経験としてではなく悪しき慣れとして作用していると感じたのだが、高い潜在能力 でその不安をカバーして見せた。

対する工学院大。リーグ戦から続く貧打をそのまま引きずった形となった。7回以 外は全て先頭打者が塁に出るものの、得点につながったのは2度だけ。次の試合まで にこれを解消できるかが大きな課題となる。

平成12年7月1日 流通経済大学グランド 2・3部入れ替え戦第2戦
1 2 3 4 5 6 7 8 9
工学院大(2部6位) 0 1 0 1 0 0 0 0 0 2
日大生物(3部1位) 0 1 0 0 0 0 0 0
(9回サヨナラ)

工学院大・浦野、日大・上原の先発でスタート。同点で迎えた4回表、長谷川の本 塁打で工学院大が勝ち越す。中盤は両先発投手がふんばり、スコアボードにはゼロが 並ぶ。浦野は序盤こそボールが高めに浮きヒットを放たれたが、低めに集まりだした 3回以降は危なげのない内容。大振りが目立つ日大打線は、伸びのあるストレートに 差し込まれ外野フライの山を築く。一方の上原はコントロールに苦しむ上に、かわい そうなくらい汚いヤジを津島から浴びせ続けられるが、辛抱強く投げ追加点を許さない。

後がない工学院大ベンチは賭けに出る。好投するエース浦野に代えて7回から野口 につなぐ。野口も手元で変化する球を有効に使い7、8回をゼロに抑える。日大ベン チも動く。1点ビハインドの9回にここまで温存していたエース伊藤を投入する。

そして9回裏。2死までこぎつけた野口だが連続四球などで満塁としてしまい、こ こで佐原の放った痛烈な打球はライト前へ。懸川の好返球も及ばず、2走の俊足浅葉 が一瞬早く滑り込み逆転サヨナラとなった。

日程の消化が遅れ、7月までずれ込んだ今季の入れ替え戦。季節はもう夏で、秋季 リーグ戦の開幕も近い。この日の茨城県の最高気温は34度を超えたらしい。照り付 ける太陽の下、工学院大は涙とともに散った。


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