平成12年 東京新大学野球連盟春季入れ替え戦 |
杏林大、1部残留
日本大生物資源科学部、2季ぶりの2部昇格
工学院大、27季ぶりの3部降格
帝京科学大、3部残留
以下、試合の記事は東京理科大・藤島由幸氏によるものです。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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駿河台大(2部1位) | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 |
杏林大(1部6位) | 1 | 0 | 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | × | 6 |
打てないチーム同士とは言っても、その「打てない」の次元が違う。1部リーグ の投手陣に対して打てなかった杏林大と駿河台大との打力の差は歴然としていた。 ただ見た目の実力ほど点差が開かなかったのは、飯沼がとにかく粘り強く投げたからだろう。 そしてバックも2ケタ安打を許した飯沼をよく盛り立てた。またこの試合、両 2年生エースはリズムをもたらす非常にテンポのよい投球で、スピーディーな展開 (1時間39分)となった。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
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杏林大(1部6位) | 1 | 0 | 9 | 0 | 0 | 1 | 0 | 11 |
駿河台大(2部1位) | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
岩崎は非の打ちどころのない投球を披露。駿河台大が得意とする機動力を駆使した 攻撃を展開させる隙を与えなかった。6回には井上に初安打を許しノーヒット・ノー ランこそ逃したものの、終始安定したピッチングでこの入れ替え戦のマウンドを一人 で守り切った。
果敢に挑んだ駿河台大だが、先程行われた新人戦に優勝して波に乗る杏林大の勢い に完全に飲み込まれた形となった。今回の杏林大の圧勝は、縮まってきていると言わ れる1部と2部の実力差が再び開き始めてきていることを暗示しているのかもしれない。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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日大生物(3部1位) | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3 | 9 |
工学院大(2部6位) | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
シートノックから日大の選手たちの声の量は少なかった。この入れ替え戦を大事な ゲームとして意識できているのだろうかと疑い、度重なる入れ替え戦への出場が貴重 な経験としてではなく悪しき慣れとして作用していると感じたのだが、高い潜在能力 でその不安をカバーして見せた。
対する工学院大。リーグ戦から続く貧打をそのまま引きずった形となった。7回以 外は全て先頭打者が塁に出るものの、得点につながったのは2度だけ。次の試合まで にこれを解消できるかが大きな課題となる。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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工学院大(2部6位) | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
日大生物(3部1位) | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2× | 3× |
後がない工学院大ベンチは賭けに出る。好投するエース浦野に代えて7回から野口 につなぐ。野口も手元で変化する球を有効に使い7、8回をゼロに抑える。日大ベン チも動く。1点ビハインドの9回にここまで温存していたエース伊藤を投入する。
そして9回裏。2死までこぎつけた野口だが連続四球などで満塁としてしまい、こ こで佐原の放った痛烈な打球はライト前へ。懸川の好返球も及ばず、2走の俊足浅葉 が一瞬早く滑り込み逆転サヨナラとなった。
日程の消化が遅れ、7月までずれ込んだ今季の入れ替え戦。季節はもう夏で、秋季 リーグ戦の開幕も近い。この日の茨城県の最高気温は34度を超えたらしい。照り付 ける太陽の下、工学院大は涙とともに散った。